やかんです。

前回も不法行為について扱いましたが(こちら)、今回はそれらの理解の確認とアプデを目標に扱っていきます。

東大生やかんのブログ
やかん

※内容は僕のパブリックメモです。

まず、現状の理解をざっくり吐き出してみる。

不法行為法は展開として5つの事件を経ている。

  1. 直接の契約関係にない当事者は製造者に対して責任追及できない
  2. 直接の契約関係にない当事者でも、製造物に本質的な危険が認められれば製造者に過失がある場合に限り責任追及ができる
  3. 2で示された「本質的な危険」の概念が拡張した
  4. 契約法の法理(terms, warranty)で製造者に有責性を認めた
  5. 製造品に欠陥がありそれが故に損害が生じた場合は、製造者に無過失責任を負わせる

というような5つじゃなかったっけ?

上記理解について解像度を上げ直す。

1つ目(Winterbottom v. Wright)

これは特に、上記の理解以上のものを求める必要はないんじゃないかな?

2つ目(Thomas v. Winchester)

過失責任を認めたという理解で良いが、見方をちょっと変えれば「本質的に危険なものについては、製造者に注意義務が課される」ってことだ。

でも、過失の立証責任は原告にあったから万全じゃなかった、ってことか?

3つ目(MacPherson v. Buick Motor Co.)

これについても上記理解くらいでいいと思われ、本質的に危険な製品っていう概念が拡張したと。

これについて百選88の判旨の一部を引用する。

疑いもなく、自動車の性質は、その製造に欠陥があるならば、蓋然的な危険が生じることを警告する。

概念の拡張、というのは、「欠陥を持って製造された場合は蓋然的な危険がありと判断され、それも『本質的に危険な製品』に含めるよ」ということだろう。

4つ目(Henningsen v. Bloomfield Motors, Inc)

これは理解の解像度を上げ直す必要があるな。

前回の記事(こちら)に書いた通りだが、

  • 製造物責任において不法行為の法理(過失)以外の理論(契約法)によって製造者に責任を認めた
  • 免責約款は認められない

という点に力点を置いて理解したい。天下り的になってしまうが、これはのちに無過失責任が示される議論の一環で登場する議論だっていう点を強く意識する。

極端な言い方をすれば

  • 過失なくても責任を示すことができる
  • 免責できない

という2点。本件においては、過失を用いずに契約法(宣伝活動におけるwarrantyやterms)で責任を肯定したわけだが、「過失は有責性の議論において必須じゃなくてもいいんだ、じゃあ、無過失でもいいんじゃね?」みたいなテンションだと思っている。これを、免責できない、という判断がより強めているように感じる。

5つ目(Greenman v. Yuba Power Products, Inc)

4つ目において「無過失でもいいんじゃね?」というテンションになったわけだが、この事件においてそれが示された。

この無過失責任の考え方は、契約法ではなく不法行為法に属すると理解される。天下り的な感じが否めないけどね。

これらを踏まえて。

うーん、不法行為の法理についてはこんな感じでいいんじゃないかなあって思うんだけど、どうなんだろうか。まあでも、不法行為についての法典編纂運動くらいは見てくおくか。明日元気があったらやろう。

というわけで、こちらのパブリックメモも終了。最後までお読みいただき、ありがとうございます。